2011年2月28日月曜日

水難続く

先日椅子の脚が水を吸って大きなワレが生じたトラブルがあったが、同じ水によるトラブルの二件目が発生した。



上の写真はある生徒さんが作っているキャビネットの板である。彼はジウジアーロデザインの往年の銘車に乗っているのだが、雨漏りがするらしく、はぎ合わせたブナの板を車に置いた際、その水に接してしまったらしいのだ。信じられないほどの反りが出ている。大きいところでは2cmほども反っているし、板の幅も乾燥時は45cmだったのに、1cm伸びて46cmになっていた。とりあえず、乾燥し、動きが落ち着くまで、加工は控えることにしたが、元通りに戻ると考えるのは、なかなか苦しい。

先日教室で「含水率と木の動き」について話をした。乾燥材でも幅方向で2%程度は動きがあるなどと話したが、実際にこれほどの動きを見せられると、恐ろしい。木材や作品の保管には充分ご注意ください。

2011年2月19日土曜日

手作りの自由

スウェーデンの友人から紹介のあった青年が土曜の教室を見学にやってきた。ハンドクラフト全般に興味がある大学生で、半年間日本語を学んでいるという。背負って来たリュックには、彼が作ったという道具類や作品がいっぱい入っていた。



写真は木工用の物だけ。他にも動物の骨を削って作った針、それを使って編んだ毛糸のスリッパ、肩から下げていたショルダーバッグもすべて手作りだ。刃物もすべて自分でスウェーデン鋼を軟鉄でサンドイッチにしたものという(中央のチップカービングナイフはスイス製)。白樺で作ったバターナイフの塗装は何かと質問したら、「白樺の皮のタール分」という答えだった。

自分は多少なりとも木工の知識がある。それが自由な発想を妨げている部分があるかもしれない。決して洗練されたデザインや技術ではないけれど、味のある道具類や作品を見て、教室でももっと自由な発想、先入観や潜在的意識にとらわれない創作をしてもらうようにしたいと思った。

2011年2月7日月曜日

おのぼりさん

知人からテオ・ヤンセン展のことを聞いた。塩ビパイプで作った巨大なオブジェというかアニマルが浜辺を風の力で歩くらしい・・・。よくわからないけど、「見たい」。またも車で東京へ。

名古屋から東名経由、休憩込みで5時間でお台場の日本科学未来館へ。寒い冬だが、タイミングよく暖かくなってありがたい。富士山も超キレイに見えた。で、肝心のテオ・ヤンセン展だが、同行パートナーは「感動なし」。私は物理が好きなこともあって、結構面白かった。けれど実演の際、解説の女性が、ビーチアニマルを「この子」と呼んだ瞬間、冷めた。そういうノリは必要ない。

あとは、都内を見たり、自転車を走らしたり。初めて見た実際のスカイツリーはかなりの迫力。このような建造物が、東京の下町にできたことがよい。巨大資本がここに大きなショッピングセンターを作ったりしないでほしい。東京の魅力は、このような下町によるところが大きいと思う。



お世話になっている刃物屋さんへ顔を出す。お店は下町にあって、そこからもスカイツリーが見える。名古屋にも下町はあるのだろうけど、よく知らない。巨大なショッピングセンターを作り続けている大手スーパーによって、下町商店街がどんどんなくなっている。近い将来、「残しておいたら良かった」と思うだろうが、その時は手遅れ。同様に、日本の伝統刃物や大工道具の文化も伝えていかないといけない。木工教室も少しはそのお役に立てるかな?