2017年3月24日金曜日

温泉治療の今昔

先日ある温泉を再訪しました。山奥の携帯電話も通じない温泉の一軒宿で、とてもやさしい硫黄泉で大好きです。

ここは男女別の内湯と混浴の露天の他、男女別の治療泉があるのです。宿の方に「治療泉に入ってもいいのですか?」と尋ねると「ダメです」との返事。明治の頃、らい病が治るということで大勢の患者さんが来て治療し、昭和の戦後は疥癬に効くということでとても賑わい、今はアトピーの方が来られたりするとのこと。皮膚病患者さんは肌を見られたくないし、一般客がびっくりしクレームになることもあるため、治療泉と一般向けは区別しているとのことでした。ただ、最近の温泉ブームでグループで来た人が勝手に入ったりするので、医療も発達した現在、治療泉をやめて内湯を拡張しようか思案しているともおっしゃってました。

ここに限らず、たとえば有名な草津温泉も同じような歴史があったようですし、おそらく日本の温泉の多くは湯治の場として出発したのだと思います。そんな歴史も知らずに今まで温泉を楽しんでいたことを考えさせられました。

2017年3月17日金曜日

核融合科学研究所

ウチから30分ぐらいのところに”土岐プレミアムアウトレット”がありまして、時々買い物に行ったりします。出来立ての頃はお店も少なくイマイチだったのですが、段階的に拡張され、今では立派なアウトレットモール。遠方からバスで来られる方も多く見られるようになってきました。そこから直線距離で1.5kmほどのところに核融合科学研究所があり、3月7日から核融合実験が始まっており、反対運動も起きているようです(3月8日中日新聞の記事)。従妹が研究所から1kmほどの滝呂ニュータウンに住んでいますから、実験が危険なものであれば、より心配です。

そこで素人なりに、核融合実験について調べてみました。実は私20代に放射性医薬品を製造販売する会社にいて、そこにはサイクロトロンがあり、営業職ではありましたが、被ばく量を測定するフィルムバッチが配布されていました。ある時サイクロトロンが故障し、その修理で一人当たりの被ばくが法廷許容線量内に収まるよう人海戦術で修理をすることになり、待機を命じられたことがありました。幸い年配の方達だけで修理が終わり、私は入ることがなかったのですが、小さなサイクロトロンでさえ、装置全体が放射化されるため、その修理とか解体については、絶えず被ばくの心配がありました。

核融合とは何か・・・、なかなか難しいです。太陽で起こっているのが核融合らしく、また水爆も原爆を引き金につかった核融合を使った爆弾らしいです。とにかく、中性子がひっついた重水素と三重水素を超高温高圧でぶつけてやると安定したヘリウムに変化し、その際中性子線を出しながら、莫大なエネルギーを発生するのだとか。どこにでもある水素などを使って、地球上に太陽のような熱源を作ることができる、夢のようなエネルギー源になるとのことです。

その危険性はというと、強力な透過力を持つ中性子線、そして副生されるトリチウム(三重水素)。中性子線はあたったものをすべて放射化するので始末に悪いし、トリチウムは水として存在するので、それを分離し外に出ないようにするのが極めて難しいらしい。

ただし原子炉と違い、何かの事故で暴走する可能性はないとのこと。原子炉は核分裂反応が連続して起こるのを微妙にコントロールして緩やかに反応させているのに比べ、核融合は超高温や真空環境を作るのが極めて難しく、装置にトラブルが発生した場合は、反応が起こらないようになると思われます。

このような夢の研究をするのがよいことか悪いことなのか、私にはよくわかりません。周囲に全く危険がなければ 研究するのはいいかもしれませんが、施設側のHPでさえ、中性子線やトリチウムは100%防ぐことはできないと書かれており、周囲になんらかの影響を及ぼすことは否定できません。

太陽で起こっているような反応を地上で起こすために、どれだけのエネルギーやお金を使わなければならないのでしょうか? 危険性はもちろんですが、その効率は素人考えでは非常に低く、非現実的な気がしてなりません。現代の技術を駆使した小規模水力発電や海流を使った発電などの方がよほど実用的に思えます。

核融合科学研究所

 放射線αβγ